メリー・クリスマス
メリー・クリスマス って言葉を、貴方に贈りたいんだ。
あぁ言っておきますけど、俺は別にクリスチャンってわけではありませんよ?
これでも一応魔族ですから。
もちろん、眞魔国にクリスマスの習慣なんてありません。
ならどうして、かと言われますと、それはですね。
クリスマス って言葉を聴くとなんだか少し楽しい気分になりませんか?
俺がいたアメリカのクリスマスは、サンタクロースにケーキにパーティ、ツーリーにプレゼントに、それに家族の笑顔。
クリスマスには楽しい思い出がいっぱい詰まっている。
それは日本国民である貴方も同じでしょう?
貴方の初めてのクリスマスの、あのショーマの張り切りよう。
貴方にも見せてあげたかったな。
サンタクロースの衣装、新調してましたよ。
いつも見てるからいいって?
あぁそんなに投げやりな顔をしないであげてください。
彼は愛する息子のために、一生懸命なだけなんですから。
もちろん、ショーマだけじゃなく、貴方のお母上も兄上もね。
え、陛下のお母上のミニスカサンタですか?
俺はぜひ、見てみたいですけど。
何言ってるんですか、陛下。
あんなに元気で可愛らしいお母上なのに。
・・・えぇ、そうですね。話を元に戻します。
幸せがたくさん詰まった日、クリスマス。
その日に交わされる言葉、メリー・クリスマス。
その言葉を聴くだけで、なんだか少し暖かい気持ちになるでしょう。
幸せとかどきどきとかわくわくとか。
あぁユーリにとっては、どきどきわくわくは野球の方が強いかな。
とにかく、幸せで暖かな気持ちを、貴方に感じて欲しかったんです。
こちらにはサンタクロースもツリーもありませんが、せめて、気持ちだけでも。
「だったらおれも、あんたに言うよ。 メリー・クリスマス、コンラッド。」
ありがとう、ユーリ。
俺を幸せな気持ちにさせてくれるのは、クリスマスの思い出ではなく、貴方のこの、ぬくもりだけどね。
恥ずかしくなんかないですよ。
俺にとっては本当のことなんですから。
ユーリ?
そんなにくっついてしまっては、貴方の顔が見えませんよ。
え、何ですか?
クリスマスプレゼント?
俺はもう、もらったじゃないですか。
あの芝はれっきとした、俺へのクリスマスプレゼントですよ。
他に、と言われても。
それならユーリ、貴方を。
いやだなぁユーリ、俺はいたって真面目ですよ。
物じゃないから却下?
それは残念。
ぜひもらいたかったのに。
これが駄目なら、俺が他に欲しいものもみんな却下されてしまうことになるのかな。
そりゃありますよ。
俺はこう見えて欲張りですからね。
例えば、ユーリの幸せにユーリの笑顔でしょう?
それからユーリの健康に、ユーリの・・・どうしました、ユーリ。顔が赤いですよ?
・・・あぁ怒らないでください。
俺はこれでも真面目に答えてるつもりなんですから。
「ホント無欲だな、あんたって。」
そんなこと、ないですよ。
俺が欲しいものはみんなユーリが与えてくれるから、そう見えるだけです。
ホントですよ。
俺は今、すごく満たされてるんです。
ユーリ、貴方のおかげでね。
きっと俺にはもう、欲しいモノなど何も無い。
だって俺は今、史上最高の幸せを、この腕に抱いているのだから。
この存在以上に、俺に幸せを与えてくれるものなど、この世のどこにもありはしない。
この間ずっと、次男はにこやかな笑顔を浮かべていたに違いない。
コンラッドの口調がばらばらで申し訳ないです。
季節はずれですみません。
2006.01.09