もう一度、呼んで











「何でだよ!!」


 

激情に駆られ、叫んだ。

体中の血が逆流しているかのように激しい惑いの中、久方ぶりに聞いたあの優しい声で響く言葉は、なんて残酷。

 

「貴方だけが最良の王というわけではない。」

 

王であれといったあいつが、王である自分を否定する。

幾度となく繰り返したいつものやり取りが頭を過ぎり、すっと身体から熱が抜け落ちたかのように感じられた。

 

もう一度、あの甘いリズムで、オレを。

 

「帰って、来いよ・・・。」

 

差し伸べた手に返されたのは、柔らかなぬくもりではなく峻烈な現実。

受け入れがたい真実は、冷たく重い塊となって、体中を支配する。

それはきっと、今だけのことではなく、これから先もずっと。

この氷のような気持ちを溶かすことが出来るのは、あの穏やかであたたかな。

 

『陛下。』

 

低く甘く、囁く声が聞こえた気がした。

その言葉はもう、オレではない誰かのものなのに。

その声はもう、オレの耳元で紡がれることはないはずなのに。

 

「っ、どうして・・・!」

 

青い魔石を握り締めるその手が、自分でもおかしいほどに震えていた。

 

 

彼がいない、ただそれだけで、この心に安らぎの炎は灯らない。

 
















原稿の合い間に書いてた作品。
ギャグ?を書いてたので暗いのが書きたくなったというシリアス大好きっ子。
コンユは精神的にはユコンなのではと思ってます。





2006.2.18