そらに吹く風になる。















マイクを握ったシェリルは一呼吸付いて映し出された宇宙を見た。

あそこでこれから、戦いが始まる。

あいつが、飛ぶ。

 

死なないで。と言って触れたあいつの身体は温かかった。

その熱を離したくなかった。

 

行かないで。と泣いて縋れればよかった。

一人にしないで。私を見て。ここに居て。と。

普通の女の子みたいに泣きじゃくって、手をつかんで、離さないで。

 

でもそんなの、シェリル・ノームのすることじゃない。

 

大きく息を吸って、叫ぶ。身体の底から。

届くように。みんなへ。宇宙へ。空へ。

 

 

「みんな、あたしの歌を聴けえええええ!」

 

あいつが飛ばずにはいられなかったように、あたしは歌わずにはいられない。

あいつは今飛んでいる。あたしは今歌っている。

同じ宇宙という名の舞台で。

 

ここに風は吹かないけれど、この歌であいつの翼を飛ばせるように。

 

「今日もマクロスピードでぶっ飛ばすよ!」

 

だってあたしは、シェリル・ノームなのだから。

















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(吹き抜けろ。どこまでも)




11・04・2008